岩手県南花巻温泉郷の「大沢温泉」全体ガイドです。2001年に東北出身の友達に連れられて魅了されて以来、関西在住というのにほぼ毎年、少なくとも30回は来ている定宿です。湯治宿と近代旅館の二つの宿はあらゆる要望を叶える一番のおすすめ宿です。
全体の概要
まずは概要をまとめます。
| 大沢温泉 全体概要表 | ||
|---|---|---|
| 項目 | 内容 | コメント |
| 主な宿泊棟 | 近代旅館「山水閣」 格安湯治宿「湯治屋」 |
予算や旅の目的に合わせて最適な滞在スタイルを選べます |
| お風呂の総数 | 6種類(内湯・露天・混浴など) | どちらの棟に宿泊しても、敷地内すべての湯めぐりが可能です |
| 泉質 | アルカリ性単純温泉(pH9.0)源泉かけ流し 源泉温度51.3℃ |
とろみのある肌に優しい名湯です(一部に若干の消毒あり) |
| 見どころ・施設 | 築200年の歴史ある建物 ジブリ関連ギャラリー(菊水館) |
敷地内を散策するだけで、まるで時代をタイムスリップしたような情緒を楽しめます |
| こんな人におすすめ | ・宿全体の情緒や圧倒的なコスパ、湯治体験を重視したい方は「湯治屋」へ ・快適な客室、豪華な食事、充実したフルサービスを重視したい方は「山水閣」へ |
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近代的な和風旅館の山水閣と超格安の湯治屋、お風呂は6種類用意されていて一軒宿ながら湯めぐりができる本当に楽しい宿です。様々な旅人の目的を満たせると思うのでぜひおすすめしたいです。
岩手県花巻市の南花巻温泉郷は豊沢川沿いに一軒宿が点在しています。大沢温泉はその真ん中に位置していて、県道から川の方に降りた位置にあります。
上の写真は自炊部を高い位置から撮ったものですが、いかにも歴史がありそう。
坂上田村麻呂が蝦夷との戦いで負った傷をこの温泉で癒やしたとか。これは平安時代の話なので伝説なのですが、南部藩主がここに湯治で訪れて和歌を残しているそう。花巻で育った宮澤賢治も子供の頃から訪れていて、水車を止めるいたずらをして大騒ぎになったとの逸話が残されています。
スタジオジブリの鈴木敏夫さんも大沢温泉を「こよなく愛している」そうで、後述するジブリ関連の展示会の企画を発案してくれています。でも「ますます予約が取りづらくなった」とぼやいているとのこと。
安くて源泉かけ流しでアルカリ性の特徴のある温泉を楽しめる湯治屋と近代的な和風旅館といっていい山水閣の二つがそろっていてどのような目的や趣向、人数構成や予算に対応できると言っていいでしょう。
三つの棟
まずは二つの宿と離れを含めた三つの棟について書きます。
湯治屋(自炊部)
忘れもしない21世紀最初の年に東北出身の友達に連れてきてもらって、素晴らしい露天風呂と宿全体の趣とコスパにノックアウトされました。
帳場や売店のある本館は築200年江戸時代末期の建物といわれています。宿の方に聞いたのですがはっきりいつとかは記録がないそう。そのほか、新館、中館、上館、ここだけ木造モルタルの若葉荘といくつもの建屋が連結されていて館内は迷路状態です。
建物は古いわけですが、毎日一生懸命掃除してくれているので清潔です。ただし、外鍵がかからないとか壁が薄くて隣の部屋の音が聞こえるといった点は如何ともしがたい点は要注意。
資産とか減価償却といった概念のない時代の建物なので、料金は格安。通常期の素泊まり【湯治プランスタンダード】であれば一人で泊まっても4,740円、二人なら7,120円(※2026年6月時点)。これなら一週間くらい湯治しようという気にもなるものではないでしょうか?
と、まあ書きたいことはたくさんあるのですが、詳細は別記事をご覧頂きたいです。
山水閣(旅館部)
近代和風旅館のと銘打った一般的な温泉宿といっていいでしょうか。【基本プラン】の一泊二食付きで17,000円~20,000円程度、同クラスの宿と比較しても満足度はかなり高いはずです。
湯治屋と比べてはいけませんがどなたにも安心して勧められます。詳細は以下のリンクからご覧ください。
菊水館(元旅館部/現ギャラリー)
茅葺き屋根の長屋と木造二階建ての建物があります。ここだけ豊沢川の西岸にあり「曲がり橋」を渡っていくことになります。以前は宿泊もできて片手で足りないくらいの回数泊まったことがあります。
北に県道が通っていて車で直接行けたのですが、2018年の豪雨で豊沢川に架かる橋の基盤の法面が崩落して通行止めになり、物資の輸送が困難になったため宿としては休止してしまいました。
過去の画像を探してみたら10年前に泊まったときの夕食が出てきました。一泊二食で8000円程度なので豪華ではないですが小食の身にはこのくらいがちょうどよかったです。
こちらは息子が幼かったときに一緒に泊まったときの部屋の写真です。茅葺き屋根の建屋の部屋は六畳間が基本でした。これだけみたら普通ですね。
その後改装して、ギャラリーとなっています。鈴木敏夫さんとの縁でジブリ関係の展示会を2023年から開催しています。春から雪の降る頃まで長期間の開催ですが、6万人の集客実績があるそう。今年(2026年)も開催予定でもう4年目になります。
六つのお風呂
今は休止中の菊水館南部の湯を含めて、湯治屋と山水閣に六つのお風呂があります。
| お風呂比較表 | ||
|---|---|---|
| お風呂の名前 | 建物 | 特徴 |
| 大沢の湯 | 湯治屋 混浴露天風呂 |
豊沢川に面した大沢温泉の象徴。川の景色を眺めながらの開放感が魅力です。20:00~21:00は女性専用時間帯があります |
| 薬師の湯 | 湯治屋若葉荘 男女別内湯 |
若葉荘の階下にある、昭和レトロでタイル張りのレトロなお風呂。ボディソープやシャンプー、シャワー2台を完備しています。 |
| かわべの湯 | 湯治屋若葉荘 女性専用露天風呂 |
混浴が苦手な女性向けに作られた比較的新しい露天風呂。目隠しがあり安心ですが、洗い場はなく浸かる専用です。 |
| 豊沢の湯 | 旅館部山水閣 男女別半露天 |
高級旅館らしいゴージャスで綺麗なお風呂。5月頃の心地いい季節には窓が全面開放されて半露天風呂として楽しめます。 |
| 山水の湯 | 旅館部山水閣 男女別内湯・露天 |
山水閣の宿泊者限定。より贅沢な内湯と程よい広さの露天風呂があり、設置されているシャンプー類もさらに高級仕様です。 |
| 南部の湯 | 菊水館(※現在閉鎖中) | 2018年の大雨被害に伴い現在は閉鎖中。木のぬくもりがある小ぶりで落ち着いた雰囲気の、愛用していた内湯でした。 |
詳細は以下の記事にまとめています。
大沢温泉の紹介|至福の湯めぐりができる多彩なお風呂編
アクセス
東北新幹線新花巻駅、在来線花巻駅からシャトルバスが運行しています。路線バスでも行けますが、本数が少ないので要注意。東北自動車道花巻南ICから20分程度でアクセスも良好です。
真冬は雪道になりますが、花巻はそこまで雪は多くありません。ただし、数年前年末にレンタカーで行った際は一晩で30cmほど積もり、車の雪を処理するのに難儀しました。雪深い温泉宿だと雪を下ろす道具を貸してもらえたりするのですが、そういう想定がないからかこの時の雪には困りましたね。
周辺観光
一般的には宮澤賢治記念館が誰でも楽しめるところではないでしょうか。キュレーションがよくて賢治の世界観をよく表して展示しています。企画展もいつも面白いので複数回訪れています。宮澤賢治関連ではイーハトーブ館や童話村といった施設も近くにあります。そのほか周辺には花巻市博物館や新渡戸稲造記念館もありますので、好みに応じていくつか訪ねてみるといいでしょう。
市内にはマルカンビル大食堂というレトロな展望食堂があります。以前はデパートの食堂だったのですが、デパートの閉店に伴い一時は閉鎖されたものの市民の存続を願う声を受けて復活したのだとか。
箸で食べる10段巻ソフトクリームやナポリタンスパゲッティーにトンカツを載せた「ナポリかつ」が看板メニューです。こちらの店舗には実は行ったことがないのですが、同じ会社がいわて花巻空港の食堂を運営しているので数年前に「ナポリかつ」は食べたことがあります。美味しかったのですが、小食の身には少し量が多かったです。
大沢温泉全体ガイドのまとめ
- 格安の湯治屋とフルサービスの山水閣であらゆる旅人の要望を叶える
- 内湯・露天、男女別混浴など多彩な6つのお風呂
- ギャラリーとなった菊水館ではジブリの展示会が楽しめる
昭和の湯治場の情緒を残す湯治屋は大沢温泉の唯一無二の価値ではないかと考えています。しかも上質のサービスを誇る山水閣も併設されているので、近代的な快適さを求める方にもその雰囲気を味わえる点が素晴らしいと思います。いくつもの温泉宿に泊まった後でもやっぱり大沢温泉が一番と思ってしまします。花巻は決して行きやすい場所ではありませんが、ぜひ一度訪ねていただきたいです。
なお、大沢温泉のお風呂の詳細や滞在記は、以下の個別記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
シリーズ定宿大沢温泉他記事へのリンク
定宿大沢温泉は本記事を含めて5回のシリーズ記事です。本文中にもリンクを載せてありますが再度他記事へのリンクを掲載します。
・【お風呂編】 大沢温泉の紹介|至福の湯めぐりができる多彩なお風呂編
(混浴露天や女性専用時間の詳細など、6つの湯めぐりを徹底解説)
・【山水閣編】 大沢温泉山水閣宿泊記|誰にでもお勧めできる近代旅館
(快適な客室、豪華な食事、上質なサービスを求める方はこちら)
・【湯治屋・部屋編】 大沢温泉滞在記|築200年の湯治屋建物・部屋編
(江戸時代から続く迷路のような館内と、ノスタルジックな客室の記録)
・【湯治屋・食事編】 大沢温泉滞在記|自炊もよし食堂もよし湯治屋食事編
(名物食堂メニューから、売店の食材を使った自炊のコツまで紹介)








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